1998年、長野冬季オリンピック、スキージャンプ団体ラージヒル決勝。
それまでトップの日本は、3番手ベテラン原田選手の1本目ジャンプがなんと失速。日本はこの時点で2位に陥落、四年前のリレハンメルオリンピックでの悪夢再来か、、、
決死の覚悟で臨んだ原田選手の2本目。
なんと最長不倒135m、奇跡の大ジャンプ。
最後の船木選手がいつも通りに飛べば、日本は金メダルです。
その時、、、、忘れもしないあの台詞、、、
「ふ、ふなきぃ~ふなきぃ~」
国民が固唾を呑んで見守るなか、船木選手は華麗なV字ジャンプを決めて、日本男子は金メダルを取ったのです。
船木選手は、世界一美しいとされるV字ジャンプを武器に、個人ラージヒルでも金メダルを獲得したのでした。
実は最近、船木選手とお会いする機会があり、金メダルを手渡していただきました。我々世代のヒーローです、普段冷静な?私も、おもわず興奮、嬉しそうな表情で「おお~っ」と声をあげていたそうです。
さて、船木選手が得意とするV字ジャンプ、スキー板を平行にしてジャンプする場合よりも揚力が増え、飛距離が伸びることが科学的に証明されています。その歴史は古く1985年にスウェーデンの選手が取り入れたとされているようです。
古くから行われているV字ジャンプですが、もし仮に今の時代、V字ジャンプによって飛距離が伸びることを初めて見出したと仮定して、果たして特許がとれるのでしょうか?
残念ながら、我が国では「発明でない」として特許をとることができないと考えられます。特許法では、「発明」について「自然法則を利用した技術的思想の創作であって高度のもの」と定義付けされているのですが、V字ジャンプは「技術」でないと判断されると思います。「技術」は反復継続性があって誰が行っても同じような効果が得られる必要があります。しかしV字ジャンプは誰が行っても同じ効果が得られるわけではありません、ジャンパーのスキルに依存します。V字ジャンプは「技術」というよりも「技能」なのです。
そんなことを考えながら、ついつい、長野冬季オリンピック、スキージャンプ団体ラージヒルの動画を何度も見てしまいます。そして、そのたびに感動して、泣きそうになってしまいます。