エンターテインメント業界と特許

エンターテインメント業界では、ここ数年、先端技術を活用した演出が盛んです。コロナ禍にあっては、例えば、現実と仮想をシームレスにリアルタイム融合させたWeb配信などが行われており、ひょっとしてご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。このような演出は、今年の紅白歌合戦などでも用いられるのではないでしょうか。

エンターテインメントにおける技術を用いた演出の歴史は意外と古く、例えば、1862年にはイギリスの舞台興行でペッパーズゴーストという視覚トリック(スリガラスと照明を利用した一種の仮想現実)を用いた演出がなされ話題になったそうです。

日本でも、現実と仮想の融合という観点からは、8年ほど前になりますが、以下のステージ演出が強く印象に残っています。特に2分30秒あたりからの60秒にご注目ください。

渋谷ヒカリエ 氷結サマーナイト

仕掛けとしては、ステージ前に設けた透明スクリーンに向かって、天井に設けたプロジェクタで間接的に画像投影するという比較的単純なものなのですが、虚像(仮想)が消えるところの演出など大変良くできていると思います。

このような技術は決して新しいものではありませんが、関連技術について特許(第2930219号)が成立しておりました。

個人的には、技術は、あくまで演者を引き立てるために用いるものであって、表現をスポイルしたり最先端技術を見せ付けるような演出は好みではありません。

数年前には、演者の動きをリアルタイムで追尾し、衣裳エリアにだけプロジェクタでトリミング画像を投影する技術が話題になりました。大変な技術で現場のご苦労は想像を絶するものであったと思います。しかし、個人的には、演者を活かす演出という意味で今ひとつしっくり来ませんでした。

上記動画では、虚像の鮮明さなどに課題があるものの、技術が効果的に用いられ演者を活かす印象的な演出がなされていると感じます。

お笑い関係の特許・商標

私はお笑いが大好きです。幼い頃、吉本新喜劇のテレビ放送で、間寛平さんが、人生に悩んでいる人に対して難しげなことを延々としゃべる(コンビナートがうんたら・・・、相対性理論がかんたら・・・etc)というギャグがあったのですが、とても気に入り、これを暗記して学校で披露していた記憶があります。また、学生の頃、「ハッ!ハッ!」のギャグとともに彗星のごとく現れた藤井隆さんを見て、間寛平さん以来の大型新人が現れた!とえらく感動したものです。ただ、笑っていいともに主演した際、「ハッ!ハッ!」のギャグを披露すると観客から“こわい”といわれ、それに対して“なによ!”と関西特有の切り返をしたのですが、どん引きされてしまったようです。今のようなスタイルに落ち着いた理由の一つなのかもしれません・・・残念です。

 最近のお笑いでは、千鳥の漫才や武将様とのやりとりは何度見ても爆笑しますし、挑戦を続けるジャルジャルの漫才には感動して泣きそうになります。中川家や笑い飯も大好きです。三人組のロバートもお気に入りです、なかでも秋山さんは芸達者で、某有名俳優の顔が裏に書かれたTシャツを持ち上げて自分の顔に重ねるギャグが有名です。

 実はこのTシャツ、特許権が成立しています(特許第6366202号)。発明者はロバートの秋山さん、出願人は秋山さんの従兄弟の方が経営する株式会社エース・マーチャンダイズです。もともと二つの国内優先権主張を伴う出願だったのですが、優先権主張が認められず現実の出願日で特許性が判断されたようです。その結果、Webページに公開されているため新規性なしなどとして拒絶になったのですが、不服審判を請求し、補正を行うなどして権利成立したようです。公開公報の代表図面には某有名俳優でなく秋山さん自身の顔が描写されているようで、個人的にはツボにはまりました。

 また、商標については、第25類の被服などについて「体モノマネ」(標準文字)が登録されているようです(第6253149号)。権利者は、前述した株式会社エース・マーチャンダイズです。